最後のコトバ
まさか、全部見られていたとは。
恥ずかしすぎる。
どこかに、身を隠したいぐらいだ。
「で、同情?本気?」
もう1度、当初の質問を繰り返される。
これを聞く理由も、だいたい分かる。
皐月さんも信じられないのだろう。
俺が誰かに恋をするのは。
「……本気、です」
「本気ってあんた、自分の立場分かってんの?」
「分かっているよ。
姉さんが死んだあと、まともな恋愛はしないと思っていた。出来ない理由だって出来た。でも、分かっていても止められないんだ」
俺の悲痛な想いに、今度は皐月さんが驚いている。
「だけど、梨華の伝えるつもりはない。あのことも含めて、俺のことは何も言わないつもり」