最後のコトバ



まさか、全部見られていたとは。

恥ずかしすぎる。

どこかに、身を隠したいぐらいだ。



「で、同情?本気?」



もう1度、当初の質問を繰り返される。

これを聞く理由も、だいたい分かる。

皐月さんも信じられないのだろう。

俺が誰かに恋をするのは。



「……本気、です」


「本気ってあんた、自分の立場分かってんの?」


「分かっているよ。
姉さんが死んだあと、まともな恋愛はしないと思っていた。出来ない理由だって出来た。でも、分かっていても止められないんだ」



俺の悲痛な想いに、今度は皐月さんが驚いている。



「だけど、梨華の伝えるつもりはない。あのことも含めて、俺のことは何も言わないつもり」




< 80 / 83 >

この作品をシェア

pagetop