最後のコトバ
皐月さんは、お手上げとでも言うように、両手を挙げた。
「智史の覚悟は分かった。そこまで言うのなら、私も黙っているよ。ただし、必要になったら、あのこと言うからね」
「分かった。皐月さん、ありがとう」
「安心するのはまだ早いよ。とにかく今は、あのことを考えつつ、梨華ちゃんの側にいること。自分で宣言したのだから、裏切るなよ。
2人共、お互いが必要なんだから」
全てを分かっている皐月さんは、俺に釘を指す。
それに対して、俺も力強く頷く。
分かっている。
俺に出来ることはそれしかないから。
だけど俺は、一つ心に決めたことがあった。
それも、早くに進めたい。
子供だから出来ることは限られている。
でも、出来る限り俺がしたい。
皐月さんに頼るのは、最終手段。
俺は、皐月さんに気づかれないように、こっそり拳を握りしめた。