最後のコトバ



皐月さんは、お手上げとでも言うように、両手を挙げた。



「智史の覚悟は分かった。そこまで言うのなら、私も黙っているよ。ただし、必要になったら、あのこと言うからね」


「分かった。皐月さん、ありがとう」


「安心するのはまだ早いよ。とにかく今は、あのことを考えつつ、梨華ちゃんの側にいること。自分で宣言したのだから、裏切るなよ。
2人共、お互いが必要なんだから」



全てを分かっている皐月さんは、俺に釘を指す。

それに対して、俺も力強く頷く。

分かっている。

俺に出来ることはそれしかないから。


だけど俺は、一つ心に決めたことがあった。

それも、早くに進めたい。

子供だから出来ることは限られている。

でも、出来る限り俺がしたい。

皐月さんに頼るのは、最終手段。

俺は、皐月さんに気づかれないように、こっそり拳を握りしめた。




< 82 / 83 >

この作品をシェア

pagetop