犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編

「飴! しかもブドウ味だ! えっ、貰っていいの!?」


「あぁ。」


「わあぁっ! ありがとう!」



ハイテンションで飴玉を貰おうと手を伸ばしたら。


「待て」



なんて黒澤君が言うから、



「――…っ。」



思わず手を止めてしまった。



「…って、犬じゃないから!」


「じゃあ何で待つんだよ。」


「うっ、うるさい! 突然言われたら誰だってそうなるよ!」



――――――
――――…


そんなんで日にちは過ぎ、ついに体育祭当日!

午前の種目は順調に進み、どの連合も接戦を繰り広げていた。

そして午後になり、だんだんと選抜リレーが近付いてくる。



「遥っ! リラックスして、いつも通りにね!」


「うん!」


「にしても、1年生2人を最後に走らせるなんて、先輩も何考えてるんだか…」



そう、実は私たちの連合の選抜リレーは、1年生2人…つまり、私と黒澤君がラストを決める。

理由は簡単、どの先輩たちよりも私たちの方が速いから。

どっちがアンカーになるかはジャンケンで決めて、私が走ることになった。

普通なら考えられないけど、それほど先輩たちは勝ちたいってことだよね。



「あっ、そろそろ行かなきゃ」


「遥! リラックスよ、リラックス! 頑張って!」


「分かってるよっ。行ってきます!」

< 11 / 38 >

この作品をシェア

pagetop