犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
「飴! しかもブドウ味だ! えっ、貰っていいの!?」
「あぁ。」
「わあぁっ! ありがとう!」
ハイテンションで飴玉を貰おうと手を伸ばしたら。
「待て」
なんて黒澤君が言うから、
「――…っ。」
思わず手を止めてしまった。
「…って、犬じゃないから!」
「じゃあ何で待つんだよ。」
「うっ、うるさい! 突然言われたら誰だってそうなるよ!」
――――――
――――…
そんなんで日にちは過ぎ、ついに体育祭当日!
午前の種目は順調に進み、どの連合も接戦を繰り広げていた。
そして午後になり、だんだんと選抜リレーが近付いてくる。
「遥っ! リラックスして、いつも通りにね!」
「うん!」
「にしても、1年生2人を最後に走らせるなんて、先輩も何考えてるんだか…」
そう、実は私たちの連合の選抜リレーは、1年生2人…つまり、私と黒澤君がラストを決める。
理由は簡単、どの先輩たちよりも私たちの方が速いから。
どっちがアンカーになるかはジャンケンで決めて、私が走ることになった。
普通なら考えられないけど、それほど先輩たちは勝ちたいってことだよね。
「あっ、そろそろ行かなきゃ」
「遥! リラックスよ、リラックス! 頑張って!」
「分かってるよっ。行ってきます!」