犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
「………」
また沈黙? なんで!?
何を言えばいいか分からずにいると、沈黙を破ったのはまたもや黒澤君だった。
「あのさ…俺…」
「え? 何?」
モゴモゴ話されても聞こえないんだけど。
そう思っていると、黒澤君と真っ直ぐ目が合った。
前にもあった気がする、こんな状況。
でも、あの時とは違うのは…無駄に脈打つ自分の心臓と、ほんのり頬を染めている黒澤君の顔。
「…俺、お前が…遥が好きだ。付き合って、下さい…」
「……、ふふっ…」
最後の敬語で言うところでつっかえたのが可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「…一世一代の人の告白を笑うな。」
「あっ、ごめんごめん…」
「…返事は?」
「もちろん、イエスだよっ!」
「…ふざけてるのか?」
「そんな訳ないよ!? ごめん、言い直す!」
私は一回咳払いをして、改めて黒澤君を見つめる
「私も好きです。えっと…よろしくお願いします…?」
その後、疑問形なのを笑われたけど、ブドウ味の飴玉をくれたから許した。
――――――
――――
―…
「――…そして2年生になりクラスが離れたものの、二人は仲睦ましく毎日を過ごしたのでした…」
「はーい、嘘つかなーい。」
「んぎゃっ!?」
前に座る七海にデコピンされ、思わず変な声が出てしまった。