犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
「ひどいよ七海! 私の回想に嘘偽りなんて微塵も無いよ!?」
「回想には、ね。…最近、まともに会えてないんでしょ?」
「うぅっ…そ、そうだけど…仕方ないじゃん!」
クラスすんごい離れちゃったんだし!
私は1組なのに対し、紘貴は5組。
間に3つのクラスと階段を挟む。
おまけに放課後も、私は部活で紘貴は帰宅部…
そりゃもう、会えないのなんの!
「でも、理由はクラスが離れただけじゃないでしょ?」
「…私最近、七海はテレパシー使えるんじゃないかって思うんだけど…」
「やっぱりね。ほら、言ってみなさい!」
「うぅ〜…じ、実はね…?」
私は、先日の出来事を七海に話した。
――――――
――――
―…
それは先週のこと。
休み時間、七海について来てと頼んだのに断られ、一人で行ったトイレの帰り道。
廊下を歩いていると、渡り廊下を歩く紘貴を見つけた。
最近全く話せてないという事もあり、私は迷わず紘貴に近付いて行った。
そこで私は、最も見たくない光景を見てしまった。
紘貴の後ろから走り寄ってくるとてつもない美女。
その子は、紘貴の裾を引っ張り引き留めたかと思うと、異様なまでに近付き上目遣いで話しかけている。