犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
「そのまんまの意味だけど?」
「はぁ!? なにそれっ!」
意味分かんなんなくて、勢いで机から身を乗り出す。
それを見て七海は呆れ顔をする。
「ほら、そういうところよ。お菓子あげるから静かにしなさい。」
えっ!? お菓子!?
「次は何くれるのっ?」
「マドレーヌ。家に余ってたから。」
おおぉぉぉ!!美味しそうっ!
机に出されたマドレーヌに手を伸ばした、その時…
「待て」
「――っ、……その手には乗らないんだからねっ!」
そう言ってお菓子を頬張る。
んーっ! やっぱり美味しい~!
「前まではひっかかったのに…無駄に知識つけるところ、本当犬みたい。」
「無駄にって何よ! 私これでもテストは平均超えてるんだよ!?」
「知ってるわよ…それにしても、そんなに食べるくせによく太らないのね?」
「そりゃあ…毎日部活で走ってるし?」
私は中学生の頃から陸上部だ。
小さい時からかけっこが大好きで、足の速さにはちょっと自信がある。
最後のマドレーヌを口に運び、指先を軽く舐める。
ふと前を見ると、七海がこれ以上ないくらいに呆れた顔をしていた。