犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
お似合いカップル。
その言葉がしっくりくるような2人に、私はその場から動けずにいた。
ダメ、動いて…じゃないと…
このままじゃ、2人と鉢合わせることになる。
「…そんなの、嫌……」
そう呟いても私の足は固まったままだった。
その時、不意にポンっと肩を叩かれた。
ゆっくり顔を上げると、同じクラスの石塚君が不思議そうな顔で見下ろしていた。
「こんなとこで何してるんだよ、城田。授業始まるぞ?」
「えっ…? あ、うん。今行くよ。」
「なんだよ、元気無いな? …チョコならあるけど、いる?」
教室に向かいながら、石塚君が気を使ってくれた。
いつどんな時でもお菓子に弱い私は、間髪いれず頷く。
小さく銀紙に包まれたそれを受け取り、すぐさま食べた。
うん、お菓子くれたから石塚君はいい人。
なんて思いながら席に着いた。
それでもやっぱりさっきの事が離れなくて、授業なんて頭に入らなかった。
――――――
――――
―…
「……あんたねぇ…」
「え?」
全部話し終えると、七海がプルプル震えていた。
おかしいなぁ…まだ夏に入ったばかりなのに…