犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
なんて考えていた自分は馬鹿だったと、次の瞬間わかった。
「そういう事はもっと早く言いなさい!!」
「へ?」
「へ?…じゃないわよ! 通りで最近石塚君が遥に話しかけてると思った! 言ったでしょ!? 遥はもっと人を疑うべきよ!!」
「な、七海…ちょっ、落ち着いて…」
「これが落ち着いていられるもんですか! 黒澤君も黒澤君よ! こんな可愛い彼女放ったらかして何してんのよ!」
…七海の周りに見える真っ赤な炎は、私の幻覚であってほしい。
それほどまでに、七海の勢いは凄かった。
「よし遥、あんた今日部活休みなさい! ってか、休め!」
「えぇっ!? 何で!?」
「決まってるでしょ!? 黒澤君に話つけに行くのよ!」
――――…そんなこんなで今、5組の教室前にいます。
HRが終わり少し経っているのが、まだ人は多い。
…けど
「……やっぱりいないや…」
どこを見ても紘貴はいない。
帰宅部だし、もう帰っちゃったよね…
…いや、部活まで休んだのにここで終わっちゃ七海に悪い!
まだ学校にいる事を願い、思い当たる所をとことん探した。