犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
まず行き着いたのは、生徒玄関だった。
紘貴の靴は…まだある!
ってことは、学校にのどこかにいるってこと!
私は気を取直して学校中探しまくった。
なのに…
「何でいないの…?」
もしかして、行き違いで帰っちゃったとか!?
うわ、ショックすぎる!!
もう一回確認しようと思い玄関に来ると…
「靴は、あるんだよねぇ…」
どこにいるのよ、もう!
取り敢えず落ち着くため、私は自分の教室に戻ってきた。
そこでふと、黒板が目に入る。
「…ったく、消し忘れてるじゃないっ! 掃除したの誰よ!」
なんて独り言のような文句を言いながら黒板消しで消そうとした時、やっとそれを文字として認識した。
〝待て〟
そのたった二文字に、私は動きを止めた。
何でかはよく分かんないけど、自然とそうなった。
…その時、ずっと聞きたかった声が教室に響いた。
「待てが自然に出来るとか、もう犬じゃん」
ゆっくり振り返ると、後ろのドアから入ってくる紘貴がいた。
…いつもと変わらない無表情で。