犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
自然と俺の足は職員室へ向かっていた。
そして、担任を見つけるや否や、
「俺、選抜リレー出るから」
とだけ言って帰った。
次の日の朝もう一度確認され、俺はすぐに頷いた。
一番驚いていたのは、なぜか遥本人だった。
それからは、リレーの練習もあり、遥とは良く話すようになった。
あまり着飾らない感じがほかの女子と違って居心地が良かった。
俺が昼寝をしている所を嗅ぎつけては、起こしにくる。
一回、何で場所が分かるのか聞いたら、
「んー…強いていうなら、勘だね!」
…今度物失くしたら、こいつに頼もう。
なんて考えながら、楽しそうに世間話をする遥の横を歩いていた。
そして日は過ぎ、体育祭。
遥は土壇場でやってくれる女だった。
転びそうになったと思いきや、でんぐり返しで回避するとか…
どんだけだよ、まじで。
咄嗟に叫んだせいで喉痛いし。
でも、無事ゴールした遥は嬉しそうに笑ってたから良しとしよう。
…それからは季節はあっという間に流れ、1年生最後の日になっていた。
HRも呆気なく終わり、みんな帰り始める。
俺もその一人で、賑わう廊下を歩いていた。
そんな所に、ある奴がやって来た。
「紘貴、一緒に帰ろーぜ!」