犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
俺は真っ直ぐ教室に向かう。
まだあいつがいる事を願いながら。
……もし、
あいつに、好きな人がいたら…
――いや、そんな事はどうでもいい。
俺はあいつに、好きだと伝えたい。
やっと教室に着いたら、中から声が聞こえた。
「…告白なんて出来ないよ……」
その声は、あいつのものだった。
一瞬躊躇ったけど、気付けば俺の口が動いていた。
「誰に告白すんの?」
「っ!? 何でいるの!?」
誰もいないと思っていたのか、酷く驚いていた。
「…忘れ物取りに来ただけ。」
取り敢えず、そう言う事にしておこう。
そう言ったからには、机の中を見なければ不自然だ。
まぁ偶然にも筆箱が残っていたんだけど。
「…で、誰に告白する気だったんだ?」
不意に口から出たのは、嫉妬めいたものだった。
「別に…誰だっていいじゃない…」
…そりゃそうだ。
他に、好きな奴が……
「……いや、わかってたけど…やっぱショックだな…」
「え? 何か言った?」
俺の呟きを聞き取れなかったのか、俺に近付く。
…でも、今言わなきゃ絶対後悔する。