犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
今度はちゃんと、真っ直ぐ遥の目を見る。
前にもこんな状況あった気がするけど、今は思い出す余裕なんて無かった。
「…遥が好きだ。付き合って、下さ、い…」
「……ふふっ」
何だこいつ。
人の告白笑いやがって…
でも、結果付き合える事になったから無かった事にした。
―――――
―――
―…
「……そして、今に至るって訳な! でも、最近会えてないんだろ?」
「うっせ…つかお前、自分が同じクラスだからってわざわざからかいに来んなよ…」
「ぅおっ!? ごめんごめん! 謝るからそんな怖い顔すんなよ!」
焦る奏音を横目に俺は歩き出す。
「あっ、次移動教室なんだっけ? じゃ、俺も戻るな~」
「もう来なくていい。」
「…相変わらず酷いな紘貴…」
トボトボ歩いて行く奏音を放って、俺は渡り廊下を進む。
「………あ…」
もうすぐ着くという時に、筆箱を置いてきた事に気付く。
俺ってよく筆箱忘れるんだよな…何でだろ。
まぁ、まだ余裕あるし、取りに行くか。
そう思い来た道を戻る。
「黒澤く~ん!」
その時、聞きたくもない甘ったるい声が後ろからした。