犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
「あんた…前世、犬だったんじゃない?」
「そんな事ないよ!」
「いーえ、絶対そうよ! この前、女子更衣室に落ちてたタオル、匂いで持ち主当ててたじゃない!」
「いや、あれは…その…偶然だよ?」
確かに匂いは嗅いだけど。
あ~、あの子っぽいなぁ…って思ったら、本当にそうだった。
なんて思い返していたら、勢いに任せて七海は続ける。
「それから! 昨日の体育の持久走なんか、一人だけ無駄に速く多く走ったくせに涼しい顔してたし! どんだけ体力あるのよ!」
「それは…走るの好きだし、体力には自信あるから…」
「それにそれにっ、人懐っこいにも程があるのよ! もっと人見知りしなさい! 人間なんて、疑ってナンボなんだから!」
「ちょ、落ち着いてよ七海…あ、携帯鳴ってるよ?」
さっきから教室中の注目を集めてますって。
私が言うと、七海は半信半疑の顔で鞄を探る。
そして携帯を出し、画面を確認してからまた呆れた顔をした。
「…何で鞄の中のマナー音が聞こえるのよ…」
「昔から耳は良いからね。これちょっと自慢。」
ちょっとドヤ顔で言うと、七海はついに無表情になった。