犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
そしてそのまま、2人は教室に入って行った。
それと同時にチャイムが鳴る。
「あっ、チャイム鳴っちゃったね~。このまま2人でサボらない?」
「断る。」
「えっ? ちょっと、教室戻らないの??」
なんて言ってくる村山を置いて、俺は生物室に入った。
結局シャーペンは近くの男子から借りた。
―――
―…
HRが終わり、みんな帰り始める。
俺も鞄を持ち玄関に向かう。
「…………」
何となく、物凄く何となくだけど。
遥に会いたくなって来た。
いやでも、あいつは部活あるし…邪魔するのは気が引ける。
なんて思いながら下駄箱に着くと、丁度部活に行こうとしていた長谷川に出くわした。
正確に言うと、待ち伏せされてた…?
そして俺と目が合ったかと思えば、ビシッと指をさされる。
「黒澤君! まだ帰っちゃ駄目だからね!」
「……は?」
意味が分からない。
長谷川の周りを見ても、遥はいない。
何なんだ?
「いい!? 遥に会うまで、絶っっ対に帰っちゃ駄目だからね!?」
強く念を押し、長谷川は背を向け歩いて行った。
……遥と、会うまで?