犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編


って事は……



「……っ」



俺は無意識に走り出していた。

どこにいるんだ?

どこに行けば、遥に…

そこまで思って、俺は息を整えながら冷静になる。

もしあいつも俺を探しているなら、無駄に動かない方がいいはず。

かと言って、ずっと突っ立ったままなのも駄目だ。

悩んだ末に思い付いた事、それは…



「…やっぱり、鞄置きっぱなしか」



むしろそっちの方が有り難いけど。

そう思いながら、チョークを持ち黒板に二文字だけ書き教室を出る。

少し校舎を回ったけど、やっぱり見つからない。

お互いに探し回ってれば、そりゃ会えないよな。

最後の希望を持って1組の教室を目指す。

……いた

教室を覗くと、黒板の前で固まる遥がいた。



「…待てが自然に出来るとか、もう犬だな」



すると、驚いたような顔で遥が振り返る。

やっと会えた。

そう言おうと思ったら、あいつのウザい声に邪魔された。



「――黒澤君っ!」


「………」



…またお前か。

声の方を向けば、村山が息を切らしながら入口に立っていた。

ふと黒板の方を見ると、遥の姿が無かった。



「………ったく…」


「あのっ…黒澤君!」


「……何?」


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