犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
村山は息を整えてから、数歩俺に近付く。
その顔は、若干赤くなっていた。
「わ、私…黒澤君が好き!」
え……まさかのパターン…
だから最近、異様に絡んで来てたのか。
「悪いけど、俺彼女いるから。」
「わかってる! だから、別れて!」
………は?
何言ってんだ、こいつ……
「それは無理。」
「何でよっ!?」
いや、そんな事言われてもな…
「無理なもんは無理。」
間を空けずに答える。
そう言うと、村山は顔を真っ赤にして叫ぶように続けた。
「何でよ! 城田さんなんかより、私の方が可愛いじゃない! クラスも一緒だから側にいられるし! そ、それに…城田さんのどこが良いか分かんないもんっ!」
村山は涙目になりながら訴える。
何かキャラ変わってね?
つか普通、自分で可愛いとか言うか?
…まぁ、
「確かに、パッと見は村山も悪くないとは思うけど…」
「っ! じゃ、じゃあ…」
「でも、だからって別れる気もないし、お前と付き合う気もない。」
「なっ…どうして!?」
納得がいかない村山は、また一歩俺に近付く。
そんな村山に、俺は思ったことをそのまま言った。