犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編


「さっき?」



分からない、と言うふうに首を傾げる遥。



「遥のその、笑う顔が好きだって」


「っっ!?」



俺が言うと、遥はどんどん顔を赤くしていった。

それを見て笑うと、笑うなと怒られた。

そんな姿が可愛くて、そっぽを向く遥に何となく意地悪をしようと、



「…最初の飴、もう食い終わった?」


「まだ、だけど?」


「じゃあそれ、俺が食べる。」


「はぁ!? 貰ったからには、このブドウ味は私のなんだからね!!」



遥の後頭部に手をかけ、



「そっちじゃない。こっち。」



そのまま、頭を引き寄せた。



「えっ……――っ!?」



俺は遥と唇を合わせる。

そして、息継ぎのために開けた遥の口内へ舌を滑らせ目的の物を探る。

苦しいのか、遥は俺のシャツをギュッと握る。

少し経ってからゆっくりと唇を離した。

俺の口にはリンゴ味の飴が転がる。

遥を見ると、目を見開いて固まっていた。



「…俺的にはリンゴ味の方が好きだけどな。」



そう言うとハッと我に返ったようで、さっき以上に顔を赤くしていく。

…可愛い。

慌てふためく遥を見て、不覚にもそう思ってしまった。


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