犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
――再度言うが、俺には犬のような彼女がいる。
「ねぇねぇ!甘い物好きなら、今度ケーキ屋さん行こ!すごい美味しいお店知ってるんだ~!」
無駄に元気で、
「飴、舐め終わっちゃった…まだ残ってる?他に何味があるの??今日はチョコないの?」
お菓子と言う名の餌に弱く、
「…あっ、この匂い!きっと近くにクレープ屋さんあるよ!」
勘もよく、鼻も耳もいいらしい。
「ね!ちょっと寄っていこうよ!」
一緒に歩くには手を離してはいけない。
じゃないと、いろんな所で道草を食ってしまう。
「わかった、わかったから引っ張るなって」
…まぁ、それが彼女というなら許せてしまうが。
「……そう言えばさ、紘貴は私に何か用だったの?」
「は?」
「だって、紘貴も私のこと探してたんでしょ? 何で?」
「………今更かよ…」
「えっ、何その反応!」
「…そんなに知りたいか?」
「うん!」
「……気が向いたら教えてやる。」
「は!? それいつよ!」
「…明日以降のいつか」
「なにそれ!? そんなのいつまで待てばいいのよ!」
「ずっと待ってればいいじゃん。」
「……どういう意味よ…」
「そのまんまの意味。」
「〝待て〟は得意だろ?」
......................................................END.*・゚