犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編
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1年生の時、私と紘貴は同じクラスだった。
最初は特に仲が良いという訳ではなく、普通にただのクラスメイトみたいに思っていた。
何回か話した事はあるけど、長い時間一緒にいることもなかった。
そんなある日、私が紘貴と関わるきっかけが生まれた。
やっと夏を感じられる時期にやってくるのが、学校イベントの一つ、体育祭!
運動が好きな私にとっては、楽しみで仕方がなかった。
もちろん、足の速さには自信があったから、選抜リレーに自ら立候補した。
先生もみんなも反対するどころか大賛成してくれて、女子の枠はすんなり埋まった。
あとは男子だけ、なんだけど…
「このクラスで一番速いのは…黒澤か。どうだ、やってくれないか?」
「………」
クラス中の視線を集めながらも、頭を縦に降らない彼に、先生は少し困っているようだった
「あー…じゃあ、男子は明日決めようか。日直、号令頼む。」
そんなこんなで、男子選抜は後回しになり、HRは終わった。
みんなが帰って行く中、私は教室を出ようとしていた紘貴に声をかけた。