桜の季節にさよならを

[ドンッ]

「わっ!?」

ぼーっと歩いてたせいで前を歩いていた人にぶつかってしまった。

「…っぶねー…」

暗くて顔が見えない。
でも私の高校と同じ鞄を持ってる……??

「ご、ごめんなさい…」

「いーよ、別に」

「あ、ありがとう…」

何故か沈黙が流れる
…お、怒ってるのかな?やっぱり

「あのさ、お前、藤井梓だろ」

「えっ」

「違う?」

「そ、そうだけど…何で……」

突然見ず知らずの人に名前を当てられて
内心ドキドキしている私…だったが

「は?クラス一緒なのに覚えてねーの?」

クラスが一緒……?

「え…うそ」

「ほんとだし。何でわざわざ嘘つかなきゃいけねーんだよ」

「あ、そうだよね…」

ぶつかってしまったことにも驚いてるのにそれがクラスメイトだって言うんだから
余計にびっくりして上手く話せない。

「で、俺のことわかんねーの?」

相手の男の子が首をかしげる。

う~んなんとなく声聞いたことある気はするんだけどなぁ…
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