それでは最後に
「えっと、肉まんとあんまんを四つづつ」


「はい、少々お待ち下さい」


対応したのは小口紗祐里(おぐちさゆり)―茶髪店員だった。


「申し訳ございません、ただ今中華まん温めるのに少々お時間頂いてしまうんですが…」


そりゃそうだ。今時のコンビニ中華まんの種類の豊富さから考えて、蒸し器に同じ種類のものを四つも置けるはずが無い。


「(つかそんなことより告白だろーよー!何普通に買い物してんだよあのアホ)」


明が雑誌を握る手に力を込めたその瞬間。
俊介は、これ以上ない笑顔で茶髪店員をゆっくりと指差した。


次の瞬間、奇跡、起こる。









「うーん…それじゃ、代わりに君をもらおうかなっ☆」










瞬間、その閉ざされた空間はしばし時間を進めるのを止めた。放棄した。



…諦めた。
< 10 / 37 >

この作品をシェア

pagetop