それでは最後に
淡い期待。




そんな思いを少しでも抱いた自分が愚かだった。




今目の前で自分を睨んでいるのは、間違いなく人間ではない。




悪魔

夜叉。






人でないものなら幾らでも形容出来る。
それほど恐ろしい、おぞましい表情だった。


横で友人が何か喋っているが、聞こえない。

足が竦んで動けない。

視線を逸らすことも出来ない。

五感全てを奪われたようだった。唯一飲み込む唾の味だけが妙に生々しく感じられた。
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