それでは最後に
救助を求める声が詰まった。


「(なに、なんだよそれ!その眼!)」


警官は『犯人』は『俊介』であると判断したらしい。まあそれはこの状況ではごく自然なことだろう。
が、俊介に照準を合わせたその眼つきは明らかに状況を大袈裟に勘違いしたとしか思えないものだった。


遠くからでも分かる。


血走っている。


泳いでいる。


狂っている。


たまたま俊介の顔が不倶戴天の親の敵そっくりだったか、あるいは今日中に自らの手によって現行犯で逮捕すれば、晴れて私服警官デビュー出来るという約束でもあったのか。


ともかく、その警官は明らかに俊介の味方をする気はないようだった。
紗祐里がアナコンダなら、警官はヤマカガシだ。


ヤマカガシがどんな蛇かは知らないが、俊介は何となく語感でそう決めた。
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