それでは最後に
「まあその内帰って来るやろ。ボコボコにされとったらバンソコくらい貼ったったら?」


圭太が煙草を咥えたままゲームを再開した。


「(な、なんつう他人事っぷり……)」


明は床で所在無さげにしている俊介の財布と携帯電話を見つめた。


「俊介は何か逃げるのとか慣れてそうじゃん。多分大丈夫っしょ」


根拠もへったくれも無い、これ以上なく適当なことを言う登。


確かに明の説明だけ聞けば、例え捕まったとしても軽く脅される程度に思うだろう。
だが、こいつらは知らないのだ。あの眼を。あの運動能力を。執念深さを。


「豹みたいな女だった」


「ひょー、怖い」












「……なんちって」


明のかなり的確な例えは、病的なマヨラーのどうでもいい駄洒落でかき消され以後話題に登ることは無かった。
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