それでは最後に
変わってハナイチマート安志川駅前店。


「ただいまー……」


小口紗祐里は額にうっすら汗を浮かべ、襟元に手で風を送りながら職場に帰って来た。


「お帰りー」


にやにやしながらそれを出迎える奈津希。


「捕まんなかった」


「いやいや、まず謝んなさいよ。店抜け出されると困るんだけど」


「どーせ客なんて来ないじゃん。それより疲れたー」


奈津希は少し眉間に皺を寄せたが、紗祐里は特に悪びれる様子もなく店の奥に引っ込んだ。
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