それでは最後に
【第二章】

再会は寝たふりで

「うー。もうやだ、もうやだ」


大学に向かう道すがら、俊介は何度もそう呟いた。


「やだやだ言いながらもきちんと1限に出る俊ちゃんはものすご立派やと思うよ」


圭太はぽんっと俊介の頭を叩く。


「あ"あ"あ頭がんがんするやめれぇやめれぇ」


「……お前授業中吐くなよ。つか一回ぐらい休めや、1限必修なん?」


「いんや講義。寝られる、けどあのセンセの授業、ゴールデンウィーク前、課題出す、有名」


漫画に出てくる原始人のような片言の日本語を操りながら、圭太に身体をもたれかける俊介。


「好み……だったんだよう」


「んあ?」


圭太は肩に乗っかった今一つ決まらないイソギンチャクを跳ねのけようとするが、不意にイソギンチャクが発した言葉にその手を止める。


「その、嘘告白のコが?」


「うん。凄く。ストライク。真ん中やや高めの半速球」


「……ちょっと興味あるかも」


「まるちゃんに言うぞこらぁ」
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