それでは最後に
修臨大学久米キャンパス。法学部の授業は主に3号館で行われる。
俊介が大教室に入ったのは授業開始2分後。土曜1限という自主休講最有力の時限、教授すら5分遅れが茶飯事の講義にも関わらず、席は8割方埋まっていた。
一番後ろの一番右側、5人掛けの机は両端のみ埋まっている。俊介はすごく日本的だなどと思いながら、ふらふらとそこまで辿り着く。
真ん中いいですかと聞くことすら面倒な時は、最後列の更に後ろから背もたれを跨いでしまえばいい。俊介はしっかり左右一人分ずつの間隔を確保して席についた。
日本的な光景。


「(課題発表なんてどうせ授業の最後だろ。板書もするだろうし、万一聞きそびれたら近くの奴に聞けばいい)」


ということでとりあえず寝る。


「すみません、隣りよろしいですか?」


そんな俊介の計画は、その言葉によって一瞬のうちに立ち消えとなった。
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