それでは最後に
「いやでもさ、もしさかもっちゃんがやらされるとしたらどっちに脈あり?」


登の質問に、明は少し困ったような表情で返す。



「脈も何も…まともに喋ったことすらねえのに分かんねえよ」


「…ただ」


明はそう言ってもう一度レジの方を見遣り、続ける。

「あっちの子は一瞬たりとも本気にしてくんない可能性があるから、やっぱ眼鏡の子かな~」


「ふーん」

登はちらっと店員の名札を確認する。

「(眼鏡の方が相川、茶髪が小口…ね)……しかしどっちもレベルたけえなコレ」


登がそんな呑気なことを呟いている間に、明の部屋の玄関においてミッションは開始される。


「ほいじゃ行ってきまーふ」


「ういー。行ってらっしゃーい」

圭太はベランダの手すりに肘をつきながら、振り向きもせずにただ煙草をくゆらせていた。
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