秘め恋*story6~お風呂で…~
『今夜は接待で遅くなる。』
夫婦になって1年ちょっと経った頃、夫のその言葉の本当の意味を知った。
夫は、他の女の人と会っていた。
たまたま、そう言われた夜、私も久しぶりに友人と外食をして帰るところだった。
見かけてしまったんだ、夫の姿を。
女の人と腕を絡め、親密そうな空気を纏いながら歩いている姿を。
結局、2人は夜のホテル街へと消えていった。
あの夜はどうやって家に帰ったのかよく覚えてない。
かろうじて覚えているのは、ベットに突っ伏してひたすら泣いて朝を迎えた事。
「あ、クリーニング出しに行かなきゃ。」
洗濯物を干しながら、思い出して口に出す。
夫の秘密を知って、でもこうして夫との生活を続けている私。
あれだけ彼女、そして奥さんへと苦労して登り詰めたのに、こんなことでダメになるなんてあり得ない。
と、よくわからない意地みたいなもので夫の秘密を知らないことにした。
そんな私ってバカだと思う。
それでも、夫からの愛情は感じるし私が知らない事にすればずっと平和。
だから、今でも週に何度かある夫の秘密も
黙って我慢する。
これが私の夫婦のやり方。