秘め恋*story6~お風呂で…~
空港を出た私達は、タクシーに乗って家に帰った。
そのタクシーに乗った帰り道、隣に座る隼斗くんをチロチロと観察する。
少し長めの黒髪を後ろで軽く縛ってて、白いシャツに細身のパンツ、グレーの光沢のあるジャケット…
どこぞの御曹司のような義理の弟。
2年前もかっこ良かったけど、わをかけてイケメン度が増している。
「ん?」
隣からの視線に気づいてちらりと私を見る。
何だろ、このドキドキ。
いやいや、おかしいって。
イケメンには女をドキドキさせる力があるんだよ、きっとね。
「佐和さん?」
「あ、何でもないよ。隼斗くん、またかっこ良くなったんじゃない?向こうでモテたでしょ?」
ごまかすように話題をふると、隼斗くんはふと視線を反らしてタクシーの窓の外を見た。
「かっこ良くなんてないですよ。
向こうでは恋愛なんてしなかったです。」
「え、そうなの?勿体ないなぁ…」
何気なくそう呟くと、不意に隼斗くんが私の方を見た…
何か言いたそうな表情。
「どうしたの?」
「あ……いや、何でも。」
それっきり、うちに着くまであまり会話はなかった。