秘め恋*story6~お風呂で…~




ーーーーーー




「隼斗、仕事の方はどうだ?」



「まぁまぁ。」




夕方、会社から帰ってきた夫と隼斗くんは夕御飯を食べながら久しぶりに兄弟で色々話していた。



先に食べ終えた私は、2人の会話を遠目に聞きながらキッチンで後片付けをしていた。



2人ともお酒強いなぁ…。
ワインもすでに2本空けちゃうし。



夫はだいぶ酔いが回ってるみたいだったけど、
隼斗くんと久しぶりに飲めてか頑張ってるし。




「佐和さん。」



「あ、どうしたの?」




振り向くと、キッチンの入り口でお酒の空き瓶を持った隼斗くんが立っていた。




「兄貴が冷酒が飲みたいって言ってて。」



「まだ飲む気なの?あの人。ほどほどにして…………あっ………ガシャン!パリン!」



「佐和さんっ、大丈夫ですか!?」




手元が滑って、ワイングラスを落としてしまった。


床でグラスが音をたてて割れた。



隼斗くんが驚いて、すぐ駆け寄ってきた。




「大丈夫っ。ごめんね、すぐ片付けるから。
もう私って、本当にドジ………っ。」




笑ってすぐ割れたガラスを片付けようとした私は、またまたやってしまった。


指先がチクッと痛みが走る。




「いたぁ…」




ぷくっと血が滲む人差し指を見て、がっくりする。


はぁ…バカだなぁ私。




「ほんとにドジだなぁ…佐和さんは。」




しゃがんで嘆く私の前にしゃがみこんだ隼斗くんはそう呟いて…血の滲む私の指先を手に取り、そっと口に含んだ。



思いがけない行動に私は思考停止。



お酒で少し色っぽい表情の隼斗くんを、
私はしばらくの間ぽけーっと眺めていた。





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