雨の日、キミに欲情する

「......ん、そう。ナノに会った。両方いる。透けているから...」



え?


すけている?

何?



電話を切った圭ちゃんが、また大きな溜め息をつく。

「ナノ...光太が来るまで、このままで我慢して」


ええぇー?


お兄ちゃんが来るまで、抱き締められたままって?

ヤダ! な、なんで?



圭ちゃんの顔を見ると、ほんのり赤い顔をした圭ちゃんが視線を逸らすように、横を向いていた。

こんな表情をした圭ちゃんを、私は初めて見た。


ほんのりと赤い顔をした圭ちゃんは、私に顔を背けたまま、小さな声で言った。




「...服、透けているから」


「ーーーっ!」



私は.......声が出せなかった。
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