雨の日、キミに欲情する


透けて......いる。


ああ、だから圭ちゃんは驚いた顔して、私を抱き締めたんだ。

誰かに見られないよう、私を隠すようにしてくれた。


そして圭ちゃんは、抱き締めた理由を、躊躇いながら私に告げた。

圭ちゃんが躊躇(ちゅうちょ)したのは、透けている事を知ってしまった私が恥ずかしがるからだって、そう思ってくれたってのがわかっている。

だけど私は圭ちゃんに見られた恥ずかしさと、気遣われたことが恥ずかしくて……


涙が溢れてきた。


何を勘違いしてたのだろうって。

自分のあられもない姿を晒しているのにも気付かないで、圭ちゃんに抱き締められて、圭ちゃんが男の人だと意識していた。

意識している自分がみっともなくて、とても惨めに思えた。

あまりの惨めさと恥ずかしさで、このまま消えたいって思った。


泣くのを我慢しよう。


そう思うのに、涙は止まらない。


どんどん涙が溢れてくる。


濡れた髪の滴で、涙がバレなればいい。


そう思って、圭ちゃんの胸に顔を押し付けた。
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