雨の日、キミに欲情する
タオルを頭から被り、タオルで覆われた私は、圭ちゃんの顔を見る事が出来なかった。

ううん……圭ちゃんの顔を見れなかったんだ。

お兄ちゃんに肩を抱きかかえられながら、私はそのまま家に帰った。



圭ちゃんとは、そこで別れた。


ーーー圭ちゃんは私の家には一緒に行かなかった。


圭ちゃんは恥ずかしくて泣いている私を気遣ったのだろう。

私のせいで圭ちゃんの全身はずぶ濡れだったのに、そのまま帰って行ってしまった。


優しい圭ちゃん。


あれから今日まで私は圭ちゃんと一度も会わないまま過ごして来た。


そして、私は今日、再び圭ちゃんに出会ってしまった。


クライアント先の担当者、柴崎圭として、私の前に現れた圭ちゃん。


ーーー約8年ぶりの再会だった。
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