雨の日、キミに欲情する
ーーー自己紹介として、営業の笹島さんが挨拶を終えた後、私は一礼した。
「初めまして、野々村 花菜です。今回、野島と共にデザインをさせて頂きます。よろしくお願い致します」
ーーーと、挨拶をして、私は第一営業企画課の主任である柴崎 圭さんに名刺を差し出す。
もちろん、私は柴崎 圭とは初めましてじゃないけど……この場では初めましての方が無難な挨拶でいいかなって。
多分、私って気づいてなさそうだし。
だけど名刺を受け取った柴崎 圭は、何も言わずに私の顔を射抜くようにジッと見つめた。
えっと......
ど、どうしょう。
「......野々村 花菜さん」
「は、はいっ!」
名前を呼ばれ、緊張のあまりビクついて、声が裏返ってしまった。
クスっと笑い、柴崎 圭は優しく微笑む。
「そんなに緊張なさらないで下さい。こちらこそ宜しくお願いします。」
「あ、は、はい」
完全に吃ってしまった......
穴があったら入りたい。
緊張しまくっている私って、チキン丸出しじゃない?
もぅ、ヤダ。