雨の日、キミに欲情する


「川田はKKTホテルのブライダルサロンでは、ウェディングプランナーとして在籍していますが、今回、Parttenza『パルテェンツァ』のチーフプランナーとなる予定です」


柴崎 圭がそう言ってから、彼女をチラっと見た。


柴崎 圭の視線を受け入れるように、川田さんが見つめ返す。


二人のアイコンタクトはただのアイコンタクトなのに、見つめ合うこの二人に流れる空気は、特別のように思えた。


私の中に入り込んで来る、二人の空気。


それは私の中に入り込んで、黒いモノに変わって流れていくーーーそんな気がした。



私の中で、変わる黒いモノ。



それが何かわからないけど、私にとって、かなり気持ちが悪いモノなんだと思う。


だから、私はそれに気づかないよう、黒いモノにそっと蓋をしようって。





それがいい。




ーーーと、そう思った私は、圭ちゃんと川田さんに流れる空気には、気づかないフリをした。

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