雨の日、キミに欲情する
足早に私の所まで戻って来た野島さんは「おい......」と、怒ったような声を出した。
眉間に皺を入れて厳しい顔をする野島さんを見て、私は、ハッとした。
しまった!
周りの存在のこと、すっかり忘れてた。
圭ちゃんと会えた嬉しさ、圭ちゃんが覚えてくれたことが嬉しくて、私はすっかり舞い上がっていた。
ここはプライベートじゃなく、仕事で来ていたんだという事を思い出した私は慌てて後ろを振り返る。
会議室に残っていたのは川田さんと矢野さん。
私を、ジッと見つめる川田さんの、その視線ーーー何故か私に挑むような視線で。
矢野さんも川田さんと同じように、睨むような視線を向けていたけど、その視線の先は私ではなくて、圭ちゃんを見ていた。