雨の日、キミに欲情する
「え? そうなの? その割には...」と、言った後、少し考え込む顔をした笹島さん。
だけど直ぐに人懐こい笑顔を浮かべて、まくし立てるように早口で喋り出した。
「いや、まぁ、とにかく今日が久しぶりの再会で、クライアントさんと会ったんだよね?それって、スッゴイ偶然だよね?」
「え?あ、そ、そうですね」
そう頷いてみたものの、笹島さんの話し方の一連の流れが、ちょっとした不協和音を奏でる、そんな違和感に感じた。
久しぶりの再会。
スッゴイ偶然の再会。
会わなかった時間があるから、再会したのだ。
会わなかった時間、それが私と圭ちゃんとの距離感。
近いのか、遠いのか。
親しいのか、親しくないのか。
それなりに親しいというのは、親しいけど、遠いと言う意味かもしれない。
それを考えると私と圭ちゃん...どこまで親しいのだろう。
再会しても、私と圭ちゃんの距離は、それなりに親しいと言うよりも、もっと遠いような気がした。