雨の日、キミに欲情する
野島さんははっきりと言わなかったけど、公私混同をするなと言いたかったのだろう。
確認もしなかったけど、きっと、そういう意味なのだと思う。
すっきりしない気持ちのまま、会社に戻った私は、やり残した仕事をした。
野島さんは黙々と仕事をしている。
今日の出来事は、まるで何も無かったような気がするくらいだ。
私と圭ちゃん、いや...柴崎さんが、昔の知り合いだった。
ただ、それだけ。
大きな出来事でもなく、何も無い事だ。
やり残した仕事は直ぐ終わった。
帰ろう。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
残っている人達に、声をかける。
野島さんは、私の顔も見ず「ん、お疲れ」と言っただけだった。