雨の日、キミに欲情する


困った顔した笹島さんは、思わず声をあげる。


「うっそぉー! 千沙ちゃん、まぢかよぉ?...勘弁してよ」

「......」

千沙はそうは行かないわよっ!って気迫をこめた視線で笹島さんを睨みつけるから、笹島さんはタジタジになってしまっていた。


なんだか、笹島さんが少し哀れに見える。

そう思って黙って二人を見ていたのだが、笹島さんはついに観念したように溜め息をつく。

そして笹島さんは「ハイハイ、わかりました」って、両手をあげて降参のポーズを見せると、千沙はニッコリと笑った。

「じゃあ、ここで少し待ってましょうか?」

「いや、俺は少し事務処理があるし、直ぐには...」


あれ? 二人で何処かに行くのだろうか?


そんな二人の会話を他人事のように、私は呆然として見ていたのだが...


「花菜! 何、ボーッとしてるのよ。あんたも行くのよ!」


は? 私も? 


「今から花菜と野島さんに、何があったのか、私はじーっくり聞かせてもらいますからっ!」



えー?



千沙、勘弁してよぉ。
< 51 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop