雨の日、キミに欲情する
困った顔した笹島さんは、思わず声をあげる。
「うっそぉー! 千沙ちゃん、まぢかよぉ?...勘弁してよ」
「......」
千沙はそうは行かないわよっ!って気迫をこめた視線で笹島さんを睨みつけるから、笹島さんはタジタジになってしまっていた。
なんだか、笹島さんが少し哀れに見える。
そう思って黙って二人を見ていたのだが、笹島さんはついに観念したように溜め息をつく。
そして笹島さんは「ハイハイ、わかりました」って、両手をあげて降参のポーズを見せると、千沙はニッコリと笑った。
「じゃあ、ここで少し待ってましょうか?」
「いや、俺は少し事務処理があるし、直ぐには...」
あれ? 二人で何処かに行くのだろうか?
そんな二人の会話を他人事のように、私は呆然として見ていたのだが...
「花菜! 何、ボーッとしてるのよ。あんたも行くのよ!」
は? 私も?
「今から花菜と野島さんに、何があったのか、私はじーっくり聞かせてもらいますからっ!」
えー?
千沙、勘弁してよぉ。