雨の日、キミに欲情する
「...柴崎さんと言うヒトが、花菜の知り合いでも、野島さんには口出す権利は無いと思うけど」
「もちろん、そうだけどねー、野島さんは野々村さんを特別に思ってるんだよ」
笹島さんは、ニヤリと笑って私を見て「大事に育てられてるし、デザイナーとして、ま、違う意味でも育ててるんじゃねー?」
「それってっ!...」と、私が笹島さんに厭な見方をされていると感じて言い返そうとする言葉の途中で、千沙が遮る。
「違う意味って、何? 野島さん、彼女いるのに?」
は? 野島さんに彼女?
つまんでた出し巻き卵、箸からするっと抜け落ち、テーブルの上にボトッと落ちた。
あ。
早く口に入れておけば良かった。