雨の日、キミに欲情する


「...見たんですよ。経理の佐々木さんが、野島さんに告白してるところを......」

見たって、千沙...ソレは


「覗き見?」

笹島さん、直球過ぎます。


「そうとも言いますが、わざとじゃないです。偶然に通りかかったんです」

偶然を主張しつつ覗き見を認める千沙さん、潔いけど...覗き見は覗き見ですよ。

「野島さん、彼女いるからって断ってました。それを言われた佐々木さん、可哀想で見てられなかったですよ」


いや、貴女は見てられないと言いつつ、しっかり見ていて。此処でアッケラカンと可哀想過ぎるって言って...佐々木さん、知ったら泣くよ。


あー、聞いた私も同罪だし。

佐々木さん、ごめんなさい。

心の中で、佐々木さんに謝っていたら、笹島さんが驚嘆した声を出した。



「へ? 佐々木さんって、野島さんを狙ってたんだ。へぇ、そうなんだ。前は柴崎さんに告ってたのにねぇ...」


は?

柴崎さん?

圭ちゃん?
< 58 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop