雨の日、キミに欲情する



「だ、大丈夫? 花菜?」

千沙が慌てた顔になって、私に言ったから。

初めて気づいた。


アレ?


やだな。私。


指、震えてる?


あー、そうか。

私、今、顔色が悪いんだ。



だってスーッと身体が冷たくなって来て、変だ。


なんで、こんなに動揺しているんだろ。

嫌だな、私。


圭ちゃんは昔からよくモテてたから、そんな事もあるよね。

だって、圭ちゃんはあの頃と違う。

もう大人の男性で......


ただ、今まで、私の身近な周りで、そんな話を聞いた事が無くて。


圭ちゃんが、その、一回限りってのをするなんて思ってなくて...


想像もした事なかったから...

だから、こんなに動揺してしまったんだーーーーって。そう思った私は

「え?あ、あぁ、うん。だ、大丈夫だから、うん」

上擦った声で、作り笑いをしたけど、



私ーーー上手く笑えてるのかな? 
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