雨の日、キミに欲情する



首を頷かせて、話を聞いていた笹島さんが

「やっぱ、柴崎さんはカッコイイわ」

と言えば

「今は、女癖の悪い鬼畜でしょ?」

千沙が毒を吐く。

「鬼畜って、それ、言い過ぎでしょ? 確かに、完全否定しにくいところはあるけれど」

と言って苦笑いする笹島さんと同様に、私も苦笑いをすれば

「ほら! やっぱり鬼畜と思ってるじゃなあーい!」

千沙はどや顔でケラケラ笑った。

久しぶりに再会した私の初恋の人は、今や女癖の悪い鬼畜...か。

残念過ぎるーーーそう思って苦笑する私を見た笹島さんが


「さっきの話に戻るけどねーーー」と、前置きして言う。

「男と女の関係だから、他人がとやかく言う事じゃないけど、柴崎さんは小野田さんの件で騒がしたと、野島さんに謝罪をしたんだ。『彼女が行った行動は、自分に非がある』って」

「え? 謝罪?」


「そう。まぁ、これも後でわかった事だけど...。それまでの仕事においてのトラブルとか、公私混同してる疑惑は柴崎さんが否定してたんだ」


笹島さんは当時の圭ちゃんの様子を、ポツポツと話し出した。

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