雨の日、キミに欲情する



「小野田さんの仕事に対する熱意で、不本意なトラブルが発生したのだと、そう言い続けていた。だけど、結局は小野田さんが自分で全部、暴露したからね。渦中の人となってしまった柴崎さんは、小野田さん退職する前に野島さんに謝罪しに来たって聞いたよ。まぁ、そうせざる負えなかったってとこかな」



「それって、圭ちゃんが隠してたけど、バレたから野島さんに謝罪したんじゃないですか?」


圭ちゃんのやってる事は不自然で、最低な事して、野島さんにはいい人ぶってる。

そう思えた。

圭ちゃんに嫌悪感を持つ。


圭ちゃんじゃなく、柴崎 圭に嫌悪感だ。

そんな圭ちゃん、私は知らない。


胃がキリキリ痛む。



「そうだね...そう見えるよね」と言った笹島さんは、テーブル近くを通り過ぎようとした店員に気づき、

「あ、スンマセン。ビール、もう一杯お願いします」と店員を呼び止めた。
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