雨の日、キミに欲情する



私のビールジョッキをちらりと見た笹島さんは

「あ、野々村さんもいるよね?」

と私に聞くと、千沙は「私のも!」と叫んで、慌ててビールを飲み干した。

笹島さんは三本指を立てて、店員に「スンマセン、生中、3つで」と、、ビールの追加注文をした後、私の方を振り返った。

「さっきの続きだけど...俺は違うと思うんだ」

「え?」

「柴崎さんが謝罪したのは、バレたからじゃないって...そう、思っている」と言って、笹島さん弱々しく微笑んだ。


「俺が思うには....柴崎さんは小野田さんのデザイナーとしての仕事を、ちゃんと認めていた。だから、野島さんに謝罪する事で、小野田さんを守ったんじゃないかなって、そう思ってしまうんだよね。だってさぁ、柴崎さんは自ら、自分がヒドい男だと、わざわざ言いに来たワケだし」


「あ....」


「柴崎さんって、普段は何処か人を受け入れないなっていう冷たさがあるよね?」

何故だかこの時、昔の圭ちゃんの姿が浮かんだ。
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