雨の日、キミに欲情する
だけど千沙が帰り際に言った言葉。

「野島さんも、私の中では柴崎 圭と同じ位置にいると思う」って、

その意味深な言葉。

『どういう意味？』って聞いたら、千沙は『いずれわかる』って曖昧に笑って答えてくれなかった。



野島さんも、柴崎 圭も同じって事。



その答えを出せるほど、私は彼らを知らなすぎるかもしれない。



でも野島さんは、彼女がいても平気で別の人と大人の関係を持つような事はしない。

野島さんは違うと信じたいって、思ったその時、身体がビクっとした。

それは、一人でいる音のない部屋で、突然、携帯電話の呼び出し音が鳴ったからだ。

携帯電話、スマホの画面を見ると、【光太】という着信表示。画面をタップする。


『お、花菜。寝てたか？』と、明るい声に私は返事する。

「ううん、まだ。どーしたの、お兄ちゃん？』


それは、私のお兄ちゃんからの電話で、



『週末、実家に帰れるか？』

と、お兄ちゃんは唐突に私に聞いた。
< 81 / 96 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop