雨の日、キミに欲情する
お兄ちゃんと圭ちゃんが一年も会ってない事にも驚いたけど、それよりもお兄ちゃんの口ごもる言い方。

それが気になった。

お兄ちゃんと圭ちゃんは幼馴染で親友という関係だから、凄く仲が良い。

私と圭ちゃんと最後になってしまった、あの雨の日の後も、圭ちゃんがお兄ちゃんを訪ねて家に来ていただろうなって思う事が数回あった。

本当なら、私は圭ちゃんに会う事が出来たはず。

だけど、私は恥ずかしさから、圭ちゃんに会わないようにした。わざと圭ちゃんを避けたのだ。

お兄ちゃんはそんな私の態度に気づいてたと思うけど、何も言わなかった。

そして、そのまま圭ちゃんに会わない日々が続いて、お兄ちゃんは大学を卒業した。

就職して一人暮らしを始めると、圭ちゃんは家に来ることはなくなった。

お兄ちゃんを介して存在していた私と圭ちゃんの接点は、お兄ちゃんが家を出てしまった事で、完全に無くなってしまってーーーー

私は圭ちゃんは会わなくなってしまったのだ。


その時に初めて気づく。

私は圭ちゃんに会えない事は、すごく寂しいってーーー悲しいんだと気づいた。
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