雨の日、キミに欲情する
「ーーーーっ!」

声が出せなくて、息を飲みこんだ。


だって野島さんの顔が、すぐ間近にあったから。

身体を少し屈ませて、私を覗き込むように見ていたから...


な、な、な、なんでーーーーー?


隙間から覗いた私の瞳のすぐ前に、野島さんの瞳がある。

ボツ!!と身体が火を噴いたのかと思った。

今の私はもうこれ以上赤くなれないってくらい、顔も全身も赤くなりすぎていて。


ち、近いよ、近すぎるよぉぉぉ!!


私をじっと見つめる野島さんの視線の所為で、私の頭の中は、もう真っ白の状態になってしまっていたのだけど...


「...お前、可愛い顔しているのに、なんでいつも隠す?」


「へ?」


今、なんとおっしゃいました?
野島さん、私を可愛いと言いました?

あれ、耳がおかしいのかな?

「可愛い」と言うセリフ。この状態で野島さんに言われた? 

一体、何が起きているのか...コレって夢?妄想?
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