【完】あいつが私に恋してる!?






私は胸元のブレザーとYシャツの間に

さっき竜也がとってくれたうさぎを

挟んだ






「あ、愛莉。」




竜也が指さす方を見ると

そこにはアイツが。





アイツはさっきいた女の子じゃない

別の女の子三人とわなげをしている。




そこに私と竜也が歩いて近づいた。




「優良!お化け役、優良の番だよ!!」




優良は私に気づくとパッと笑う。





なにその笑顔。




他の子にもするくせに

私の事が好きとか言ってバカじゃないの






「愛莉!!え?もう俺の番??」




「そうだよ。早く行って」




「ってことは愛莉もだよね??

 お化け。

 てかさ、アリスのまま

 来てるじゃん!」




「私は早めに入ったから、もうちょっと

 休憩あるの。着替えるの面倒だった

 からそのまま来ただけ。ね?竜也」




竜也は突然話が振られたから

驚いてたけど、すぐに微笑んで頷く。





『ねえ、優良が好きな人ってこの子?』




突然また三人いる中の一人の女の子が

口を開いた。





「うん?あ!そう!」



優良は満面の笑み。



でもそれに気がくわなかったのか

女の子は舌打ちした。





『は?この子のどこがいいわけ?

 絶対うちらの方が可愛いじゃん!
 
 しかもなんか冷たいし。

 やめとけば?』





まただ。


なんでこんなに

言われなきゃなんないの。

 

 
優良が私のこと好きじゃなかったら

こんなに言われてないのに。







「愛莉は可愛いよ。君達より」



「た、竜也?!」





話を割ったのは、なんと竜也だった。





『え?今なんて?』



女の子は少しキレ気味に竜也を見上げる





「だから、愛莉は少なくとも

 君達みたいにそんな酷い事言わないし。

 俺からしたら

 お前らより愛莉の方が比べものに
 
 ならないくらい可愛いよ」






た、竜也




そんな風に思っててくれたなんて。。



私は嬉しくて涙が溢れた。




「あ、愛莉?!泣かないで!」





竜也はおろおろして私の涙を

制服の袖で拭いてくれる。




「なにそれ?まあいいんじゃない?

 い、行くわよ!!じゃ、またね優良」





女の子にそう言われてるのに

気づいてないのか優良は下を向いたまま

動こうとしなかった。





「優良?どうしたの?」




いつもは見ない優良の沈んだ空気に

心配になり駆け寄ってみる。






そしたら優良は顔をあげずに

静かに呟いた。






「ごめん。愛莉。

 俺もう愛莉のそばにいない方が

 いいのかもしれない。」





「え?」






私がそう呟いた瞬間、

優良はどこかに走って行ってしまった。





優良?






「ごめん、竜也。

 私、ちょっと追いかけてくる!」





振り返って竜也を見ると

竜也はふふっと微笑んで頷いた。






「あ!待って!このうさぎ走った時

 落としたらいけないから、竜也

 持ってて!!」





私が胸元からうさぎを取ると

竜也に差し出す。



でも竜也は受け取ろうとしなかった。





「そのうさぎは持っててあげて。

 きっと俺のところに戻ってくると

 泣いちゃうと思うから」



「へ?う、うん!」





よくわかんないけど、私はうさぎを

胸元に戻さず、持ったまま

優良を追いかけた。





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